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書評
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《随想》
ドクトゥール白ひげ 回顧録


齋藤 晴比古
2017.08.07
ISBN:978-4-7733-8042-2
Price 1620\
▼徳島県医師会報 平成29年9月号

 著者は、来年古希を迎える徳島市在住の医師である。病院勤務を経て、1996年、徳島逓信病院の院長に就任。2017年に定年を迎え、その節目に半生を振り返った。
 全13話 内分泌・代謝の専門医として患者と向き合った体験、統計学を駆使して大当たり台を突き止め、半日で42箱をゲットしたパチンコ、ベルサイユ宮殿での100円玉探し、クチナシの小枝が取り持った妻とのラブストーリー、ある日突然、あの王貞治さんから院長室にかかってきた電話の内容も明かされる。
 一読して感じたのは、仕事でもプライベートでも、事の本質を極めずにはおれない探求心の旺盛さである。毛深さに悩む未婚女性の治療では、原因の手がかりをつかむまでに足かけ5年。自家調整した混合製剤による薬物療法が見事な効果をあげ、女性らしい肌つやがよみがえってきた。女性は恋愛結婚し、母となった。
 この治療をヒントに育毛剤の開発に挑戦して「成功」、特許取得の話まで進んだが…
 救急搬送された34歳の女性が「総入れ歯」だったことに疑問をもったことから解明した「潜在型の偽性副甲状腺機能低下症」は、世界初の症例報告、欧米の学術誌で広く紹介された。胃を切除した患者に限って起きる十二指腸液の逆流による耐え難い胸やけに、リンゴが効果あること、胃がんの手術後に起きる腸閉塞にはあるツボの指圧が有効なこと、自らが患者となって知った情報も披露している。
 医学の知識がなくても理解でき、読んで面白くタメになる。


▼日医ニュース No.1344 2017.9.5

 著者は、来年古希を迎える徳島市在住の医師である。病院勤務を経て、1996年に徳島逓信病院の院長に就任。2017年に定年を迎え、その節目に半生を振り返った。
 全13話からなり、内分泌・代謝の専門医として患者と向き合った体験、ベルサイユ宮殿での100円玉探し、あの王貞治さんから院長室に掛かってきた電話の内容も明かされる。
 全編を貫くのは、仕事でもプライベートでも、事の本質に迫ろうとする探求心の旺盛さである。救急搬送された34歳の女性が「総入れ歯」だったことに疑問をもったことから解明した「潜在型の偽性副甲状腺機能低下症」は、世界で初めての症例報告だった。
 十二指腸液の逆流による強烈な胸やけにはリンゴが効果があること、胃がんの手術後に起きる腸閉塞にはあるツボの指圧が有効なことなど、自らが患者として発見した情報も紹介。読んでいて面白く、タメになる一冊となっている。


▼ALPHA CLUB 平成29年9月15日

 著者は、齋藤病院、徳島逓信病院(院長)を経て、本年4月発足の徳島平成病院の院長。これまで日本医師会最高優功賞、日本郵政公社総裁表彰などを受賞している。
 42歳のとき、胃がんで胃を切除し、腸閉塞を体験。その激痛の中から対処法を見つけ出す。「背筋を伸ばして何気なく手を後ろに回して背中を上下にさすると腹痛が遠のいた」ことから、指圧と東洋医学の資料を検索し、「志室(ししつ)」というツボが腸管の諸機能を賦活(ふかつ)せしめることを見つけ、「自分でできる腸閉塞の指圧療法」を発表(本誌にも掲載)。後日、腸閉塞に苦しんでいた王貞治さんからも直接、電話があったという。胸やけ解消法では、生のリンゴか、搾りたての生リンゴ果汁の摂取が効果的であることを外国旅行で見つけている。
 著者の医療への探求は幅広くてユニークだ。「多毛症の治療と発毛育成剤」、フランスからの「禁煙ポスターの依頼」、「留置人の健診」などが綴られている。最終章では昔勤務していた慶應義塾大学病院の患者さん(奥様)から贈られたクチナシの若木が今も病院の玄関で命を開花している胸がつまるエピソードも。医師ならではの医療に関しての温かいエッセイ集である。


▼徳島市医師会報 ぞめき 第32号(平成29年11月)

 徳島平成病院長(元:徳島逓信病院長)齋藤晴比古先生が綴られたエピソード集を紹介します。内分泌内科医として患者に真摯に向き合う姿勢に敬服するとともに、フランス交流など幅広いご活躍に驚嘆しました。そして、クチナシの花に秘められた物語。ユーモラスな語り口の中に、誠実なお人柄と家族への深い愛情が伝わってきます。ドクトゥール白ひげの世界に引き込まれ、温かい気分に浸れます。是非ご一読ください。〔坂東 智子〕

【マスコミの書評から抜粋】
○本書の第一話(多毛症についての文章)を読んで驚いた。臨床家の魂と研究者の眼をもって患者に向かい合い続ければ、こんな経験ができるのかと感心したのだ。〔Medical Tribune〕

○探究心旺盛な著者の公私にわたるエピソード十三話が軽妙な文章で綴られている。読んで面白く、タメになる一冊と評される。〔朝日新聞〕

【読者の反響】
○引き込まれるように、一気に読み通しました。読み終わって今、私の心は満たされています。〔学校教師〕

○「研究者はロマンチストでなければならない」の言葉どおり、読みながら膝を打って共感しました。〔医師会員〕

○『クチナシの小枝』のエピソード(第十二話)、テレビドラマのような話の展開に感動しました。香しい、白い花の咲く頃には是非とも一度、見に訪れたいと今から楽しみにしています。〔主婦〕

○腸閉塞の恐怖から逃れる奇跡の指圧法(第三話)。実際に試してみて、その素晴らしい効果に驚いています。〔会社役員〕

○本書の帯文に記されている「人を愛し、医に心を尽くす」の言葉は、著者が歩んで来た人生そのものと感じ入りました。〔飲食店主〕

○胃切除患者に対するリンゴの効用(第四話)を早速“胸やけ”に悩んでいる知人に伝えました。〔元 郵便局長〕

○一編一編の内容が興味深く、文章が素晴らしい。一人でも多くの人に読んでもらいたいと感銘を受けた珠玉の随筆集です。〔勤務医〕
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《論文》
蛇、鳥と夢


中邑 徹
2017.04.20
ISBN:978-4-7733-8032-3
Price 1836\
THE FLAME Summer 2017

LESSONS OF THE PAST

Most people probably assume―If they think about such topics at all― hat our civilization is the last and greatest one that we live in an age that is the culmination of everything that has gone before us.
Toru Nakamura is not one of these people. For Nakamura, there are ancient ruins around the world that prove such assumptions are premature. An international economist who has served in consulting and executive leadership roles for companies around the world, Nakamura has visited many sites―Gobekli Tape, for example, in southeastern Turkey― hat dramatically challenge the view that our civilization is the greatest and will never decline, in his new book Snakes, Birds and Dreams (available in Japanese), Nakamura draws on the lessons of the past in the hope of saving ours from such a fate.
Tapping into the Greek symbol of the caduceus, a wand topped with wings and two entwined snakes, Nakamura’s book searches across fields and disciplines for insights into behavior and answers to problems―an approach that CGU’s Transdisciplinary Studies program would certainly appreciate.
Such a wide-ranging view is critically necessary to our civilizations future, Nakamura explains. In fact, the problem for too many social scientists today, he writes, is that they have become “increasingly specialized, paying little attention to what other disciplines are discovering and are losing the humanist perspective.” In the process, they ignore the imagination and the importance of virtues like love or trust in a healthy society―something that Nakamura addresses in his fascinating new book.Snakes, Birds and Dreams(Kindai Bungeisha).
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《外国文学研究》
横断する知性

アメリカ最大の思想家・歴史家 ヘンリー・アダムズ


岡本 正明
2016.11.30
ISBN:978-4-7733-8022-4
Price 2484\
実のところ,アダムズのわかりにくさは今日でもさほど変わっていない。(中略)教養人でなければ読み抜けない難しさがあるのに加えて,どれだけ研究書が増えていこうとも,単純な理解を許さぬ深さがアダムズの著作にはあるのである。 そうしたなか,日本において2016年に,岡本正明氏の手によって,ヘンリ・アダムズの研究書が出版されたことは,喜ぶべき出来事である。それは,アダムズ没後100年を2年先に控えての刊行であった。アダムズの残した文章の断片だけしか読まずに,彼を理解したつもりになっている者が,アメリカ研究者のなかには少なくない。私自身,学会報告した際,アダムズを研究対象にする者とそうでない者との知識の落差に驚いたことが一再ならずある。アダムズの主要な作品をすべて取り扱った岡本氏の作品が現れたことで,こうした状況を大きく改善する一歩が踏み出されたと,私は思う。(略)
今日でもアダムズ研究者は,アダムズをめぐる誤解や偏見を取り去るため,やるべきことは多い。本書の刊行を通じて,研究者の専門を越えた交流が深まり,新しいアダムズ研究が深まっていくことを私は期待している。
「アメリカ文学研究」第54号(日本アメリカ文学会)より(中野博文氏
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《随想》
卓球アンソロジー


田辺 武夫
2016.08.20
ISBN:978-4-7733-8012-5
Price 1620\
北海道新聞2016年9月11日号

名作の描写 愛ある想像

 卓球を熱愛する著者が、文学から映画までありとあらゆる創作物において卓球に触れている部分を取り上げ、独自の文学観と詩情をもって解説するという前代未聞の奇作・労作である。
 著者は高校教諭の傍ら卓球専門誌などでこうした文章を発表してきた知る人ぞ知る存在で、本書はその集大成となる。その情報量と行動力は趣味の域を軽々と超える。否、趣味だからこそ可能だったというべきか。
 当然、卓球を主題とした作品が多く取り上げられているが、むしろ著者の真骨頂は卓球とは縁もゆかりもなさそうな作品に「卓球」の文字を見つけ出すことにある。『アンネの日記』ではアンネたちが卓球に熱中していたことを見つけ出し、武者小路実篤『友情』では主人公がヒロインの卓球をする姿の美しさに息をのむ描写を見逃さない。
 こうした執筆活動のモチベーションは著者の言葉によれば、「卓球が表現者によってどのように描かれているかを探り、その作品の想像力を卓球人の活力に変えること」だというが、ときに著者の興味は作品だけではなく作家たちと卓球とのわずかな関わりにまで及ぶ。芥川龍之介と川端康成が卓球で対戦したとか、井伏鱒二が卓球の審判をしたなどというどうでもよさそうな記述までをも全集や雑誌の片隅に見つけ出し、その光景に思いをはせるのだ。本書の卓球文化史としての一面である。
 白眉は、若き日の夏目漱石がロンドン留学をしていた時期、当地で流行し始めた卓球に触れていた可能性に思い当たり、ついにその記述を日記の中に発見するくだりだ。それが日本に卓球を導入したとされる坪井玄道のロンドン留学の前年であったことから、著者は、漱石が卓球をした最初の日本人であることに思い至り、感慨にふける。ここではもはや漱石さえも著者の卓球に対する尋常ならざる思いの引き立て役と化している。
 これほどまでに著者をとらえこのような本を書かせてしまう卓球というものの奥深さと罪深さを堪能できる1冊である。
(評・卓球コラムニスト 伊藤条太)


日経新聞2016年10月13日号(夕刊)

「目利きが選ぶ3冊」
古今の心の奥に触れる言葉


 本当に思ったことだけを端正に書く。根底に静かで熱い使命感がある。つまり、よき文芸。卓球サークルの外の読者にとっては「知られざる名文家」発見の喜びもかさなる。
 かつて早稲田大学卓球部主将にして高校の元国語科教員が、小説に時に随筆に映画、卓球にまつわる古今の表現から心の奥に触れる言葉を引く。アナーキストの大杉栄は作家の吉屋信子とピンポン台に対峙していた。拉致被害者の蓮池薫は平壌でのテレビ観戦の記憶を冊子連載に記す。日本初の卓球人が夏目漱石との仮説は著者による日記精読から。
 「ゴムと、汗と、木の香りが合わさって、やる気が起きてくる」。小学五年生がラケットを作文にした一節だ。。
(評・スポーツライター 藤島大)

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